ツバメのヒナが巣から落ちてしまうことがあります。一番子ではあまりないのですが、二番子が育つ時期に、それも暑くなる7月以降になると、巣から落ちるヒナが増えるように思います。
4~5月に生まれる一番子では、親ツバメが全卵を産み終わってから温め始めるので、すべてのヒナが同じ日に孵化します。しかし、6~7月の二番子では全卵を産み終わらないうちから抱卵を始めるので、他の兄弟より1~2日遅れて孵化するヒナがいるのです。遅れて孵化したヒナは小さいので餌をもらいにくく、そのせいで、ますます身体の大きさに差が付いてしまいます。巣から落ちるのは、このような小さく弱いヒナが大きな兄弟に押されるせいという理由もありそうですが、大きなヒナが落ちたり、複数のヒナが次々と落ちることもあります。暑さでヒナが巣から頭を垂らしているようすを見ると、暑さに耐えられずに巣から飛び出してしまうのかもしれません。
さて、落ちたヒナを見つけたときは、すぐにもとの巣に戻してあげるのが最善です。しかし巣の場所が高くて届かなかったり、残っている兄弟がもう大きくて、ヒナを戻そうと巣に近づくだけで飛び出してしまいそうなケースもあるでしょう。そういうときは、巣の近くに小さな容器を付けてヒナを置いてあげましょう。親ツバメはヒナの声で自分の子だと分かるので、ジャージャーという餌乞の声を出せるヒナなら、巣から少し離れた位置に置いてもだいじょうぶです。
ヒナは羽が開いて翼を使えるくらいに成鳥すると、自分で容器の縁に上がって餌をもらいますので、容器は滑りやすいプラスチックは避け、しっかり外縁を掴むことができる素材にしましょう。また、容器が深すぎるとヒナは顔を出せず、親も餌を与えづらいので、深さ5㎝程度になるように上げ底をしましょう。その際、タオルなどツバメの爪や脚が絡まりやすい素材は敷かないように注意してください。
下の写真は100円ショップで購入した編み紐のバスケットです。中に梱包用紙を入れて深さを調整しています。

JR国立駅で、巣から落ちたヒナを助けてあげたときのようすです。もとの巣から4mくらい離れていてましたが、親はヒナに気付いて餌を運んでいました。数日後、このヒナは自力でもとの巣に飛び移り、兄妹と一緒に巣立ちました。

もし、もう少し巣の近くに容器を付けられる場所があれば、そうしてください。下の写真のようなお菓子箱は縁が細く、側面も平らでヒナが掴みづらいので、再び落ちてしまう心配もあるのですが、この場所は下方にフン受け用のダンボール箱もあるので安全です。

成長が遅れているヒナの場合は、このようにして戻してあげても親ツバメが餌を与えないことがあります。暑くなる季節は餌の昆虫も少なくなるので、親は巣立つ可能性が高いヒナを優先するのでしょう。また、怪我や障がいのため、野生では生きていけないと親が判断したヒナも、育ててもらえなくなることがあります。そのような場合、悲しいことですが、対策がありません。
なお、野鳥を飼育するには都道府県の許可が必要になりますが、落ちている野鳥を短い距離移動させたり、安全な場所に置いたりすることは鳥獣保護法が禁止している「捕獲」には当たりません。それから、人間が触ると親が育てなくなると言われることがありますが、そのようなことはありません。ただし、自分で羽ばたいて浮き上がれるくらいのヒナは巣立っていますので、無理に捕まえようとしないで、親ツバメに世話を任せてあげてください。
(神山和夫)


