越冬ツバメ調査2025-26の報告

温暖化で冬も暖かくなったせいか、越冬ツバメが増えているようです。バードリサーチと日本野鳥の会がまとめた2016-2022年の越冬鳥類調査では、ツバメの越冬地域が増えただけでなく、それが北へと広がってきていることがわかりました。そこで、これからも増えていくかもしれない越冬ツバメの情報を集めて継続的な変化を追いかけることを目的に、2025年の秋からTsubame JapanのWebサイトで「2021年の冬以降の5シーズンの11-2月の越冬ツバメ情報」を募集したところ、一般の方からの情報と私たちがネットなどで見つけた情報を合わせて、南は鹿児島県から北は岩手県まで77件の情報が集まりました。

当初はツバメの越冬情報を募集していたのですが、イワツバメとコシアカツバメの越冬情報も集まってきました。イワツバメの情報は10件で繁殖期と同じように冬季も数十羽の群れで見つかる事例が多く、最北は茨城県龍ケ崎市の牛久沼(2026年1月)でした。牛久沼ではツバメの越冬も観察されています。コシアカツバメの情報は2件で、そのうち静岡県沼津市の事例では2羽が古巣を利用していたのですが(2025年12月)、かわいそうなことに年末の清掃で巣が壊されてしまったそうです。

越冬中に巣をねぐらに利用していたコシアカツバメ(2025年12月 沼津市で撮影)

ツバメの越冬情報は61件で、そのうち26件は古巣に2羽のツバメがいるという報告でした。冬でもツバメが2羽で巣にいるのはつがいの可能性があります。2025-26年に2羽で越冬していた記録のうち、同じ場所で春に繁殖を始めたかを教えていただいたところ、繁殖を確かめられたのは宮崎市の2件だけで、そのほかは春までにいなくなってしまったか、継続観察ができない場所のため分かりませんでした。もし越冬した場所で春に繁殖を始めるツバメが増えてくると、ツバメの一部は渡りをしない留鳥になっていくかもしれません。ただし留鳥というのは生まれた子供も渡りをしない鳥のことなので、足輪を付けて調べなければ留鳥化を確かめることは難しいですが。

まとまった数の越冬ツバメが記録されたのは静岡県浜松市と神奈川県横浜市です。横浜市の境川遊水地で2025年12月に約20羽が観察されたという報告をいただいたので、私たち自身で調べに赴き、2月14日の日没時に34羽がヨシ原にねぐら入りするのを確かめました。今年の冬は1~2月上旬の寒さが厳しく、私たちが訪れたのはようやく寒さが緩んだころだったのですが、こんなに多くのツバメが厳冬期を耐え抜いたことに驚きました。ねぐらの近くに下水処理場があって温かい排水が出るので、私たちが行った日はユスリカが発生していて、10羽ほどのハクセキレイがユスリカをフライングキャッチしたり、コガモとオオバンの小群が水面を流れる羽化直前のサナギをついばむ姿が見られました。ただ、このようなユスリカの発生がどのくらいの頻度で起きていたかはわかりませんし、小さなユスリカはツバメにとって採食効率が悪そうなので、下水処理場があるというだけでツバメが生きて行けるのかはわかりません。毎日どこで虫を見つけているのか不思議です。

ツバメは倒れたヨシにとまっていました。

それから、私たちがねぐら入り前の飛翔を撮影したツバメのほとんどが、短い尾羽をしていました。浜松市の越冬群の写真でも写っているのは尾羽根が短いツバメでした。浜松市の撮影は2022年12月末なので、尾羽を換羽している途中だった可能性もありますが、3月にやってくる渡りのツバメは長い尾羽を持っていることを考えると、2月14日に短い尾羽なのは奇妙に思われます。日本で越冬していると栄養が足りないのか、それとも秋に生まれた幼鳥なのか、いろいろな疑問が湧いてきます。

これからも越冬ツバメの情報を集めるとともに、尾羽の長さや、食物を調べるためのフンの分析をしていきたいと考えています。中国・四国地方の情報が少ないので、越冬情報をご存じの方がいらっしゃったら、教えていただけるとありがたいです。

尾が短いツバメ

(神山和夫)