フィリピン・スター(Philippine star)という新聞社のFacebookページに、12月3日付けでツバメのねぐらの写真が載っていました。このような電線ねぐらは、冬、東南アジアの国々でよく見られる光景なので、新聞社の投稿のコメント欄には「うちの町でもツバメがいるよ」という写真や動画がたくさん付けられています。
いまの時期、東南アジアには日本、韓国、中国、ロシア、モンゴルといった国々で子育てを終えたツバメが、冬を越すために渡ってきています。私もマレーシアで見たことがありますが、ツバメは昼間は虫を捕りにどこかへ出かけていて、夕暮れになると街に集まり、電線にびっしりとまって眠るのです。
日本でも電線にツバメのねぐらができることはありますが、それは珍しいケースで、普通は河原のヨシ原がねぐらになります。私がマレーシアのサバ州(ボルネオ島)のケニンガウという街でツバメの電線ねぐらを見たとき、地元の人に「電線がないむかしは、どこにねぐら入りしてたのですか?」と聞いたら、椰子の木にとまっていたと教えてもらいました。東南アジアにヨシ原はないので、樹木をねぐらにしていたのでしょう。でも街中の電線のほうが天敵に襲われないことがわかって、そこにに集まるようになったのではないでしょうか。
東南アジアのひとたちはツバメが子育てする愛らしい姿は知らないので、電線にとまってたくさん糞を落としていくツバメの群れをどう思っているのかが気がかりです。でも、追い払われたりしてないようすなので、仕方なくかもしれませんが、受け入れてもらえているのでしょうか。
ケニンガウの街に集まるツバメです(2008年2月)。ここでは日本で足環を付けたツバメが見つかっています。
ツバメは越冬期にしかいませんが、同じ時期にリュウキュウツバメが巣作りをしていました。
ケニンガウの位置です。
神山和夫(バードリサーチ)