雨降って(ツバメの)巣かたまる

ツバメのように巣を泥で作る鳥は珍しく、日本ではツバメの仲間のイワツバメやコシアカツバメは別として、他に巣材に泥を使う鳥はいませんし、世界中の鳥でも泥を巣材にする種はほとんどいません。多くの鳥は雨が当たる場所に巣を作るので、濡れると壊れてしまう泥の巣では困るからです。ツバメの仲間が泥で巣作りできるのは、人と共生して雨の当たらない軒下に巣を作る習性を身につけたためです。ツバメの祖先は北海道で繁殖するショウドウツバメのように土手に穴を掘って巣を作っていたと考えられていて、ツバメやイワツバメの泥の巣は、巣穴のいちばん奥の部分を再現した形なのかもしれません。

 

さて、この泥。近くに水辺がない場所だと、ツバメが泥を見つけるのは簡単なことではありません。JR中央線の国立駅には古巣が2つ、人工巣が1つありますが、先着の3組で満室になったので、4番目に到着したツバメ夫婦は自分で巣作りをはじめました。でも少し泥付けしたところで、それ以上は巣が大きくならない日が何日も続きました。お天気が続いて、泥がなかったのですね。心配していると、雨が降った日に巣作りが勢いよく進みました。

 

4月17日。巣作りが進みません。

 

4月24日。雨が降ると1日で巣が大きくなりました。

 

5月4日。いまはこの巣で卵を抱いています。(神山和夫)