ねぐらへの帰りルートを調べています

多摩川の多摩大橋下流にあるヨシ原へねぐら入りするツバメの大半は、川の上流方向から飛んできます。2021・2022年にねぐらへ向かうツバメの飛行ルートを調べたところ、川の上流にある山の方角から帰ってきていることがわかりました。上流方向には多摩の山々や丘陵があり、そこで豊富な虫を食べたりしながら日中を過ごしているのでしょう。図①

しかし、今年はねぐら入りピーク時期を迎えた7月下旬~8月初旬となっても、多摩大橋を通過するツバメは4,000~7,000羽台に留まり、昨年の半分以下の数です。このねぐらへ来るツバメが減ってしまったのかと心配に思い、ねぐら入りそのものを観察したところ、推定20,000羽前後のツバメが大集結。素晴らしいねぐら入りの光景にホッとすると同時に、ねぐらまでの飛行ルートが他にもあることがわかりました。

なぜ、今年は飛行ルートに変化が見られるのでしょう。

私たちはいくつかの仮説を立てながら、多摩大橋以外の地点からも観察やカウントを始めました。図②は今年のもので、秋川方面からも多くのツバメがねぐらに向かっていくことがわかります。川がカーブしている所は川に沿っていくのではなく、街の上をショートカットしていくことも確認できました。このショートカットは、川のあちこちでしているように見受けられ、ツバメたちの飛行ルートを探るのは容易ではありません。しかし、私たちは単にねぐら入りする数をカウントし記録していくのではなく、ツバメたちがどんなルートでねぐらへ帰ってくるかを調べ、日中過ごしている場所まで知りたいと考えています。それにより、ツバメにとってどんな場所や環境が必要なのか見えてくるでしょう。

尚、ねぐら入りのカウント記録は「ツバメを調べる活動」でレポートしています。

ツバノキ 小川美奈子