地域のツバメを守り増やす活動

地域のツバメを守り増やす活動

東京の多摩地域でツバメの子育てを守る活動をしています。その中のひとつで、一度は減ってしまったツバメの数が回復しているケースを紹介します。

八王子市南部のJR駅前にできるツバメの巣について「何故か巣がどれも壊れてしまい、ヒナが巣立てなくてツバメが気の毒だ」と初めて話を聞いたとのは2018年のことでした。2019年、2020年もそのような状況が続き、壊れた巣の状態からカラスがツバメのヒナを捕るために巣を壊していることがわかりました。
そこで2021年に営巣した5つの巣にカラス避けの紐を張ったところ、全ての巣からヒナが巣立つことができました。これを機に地元在住の方とチームを組んで、施設や店舗からの協力も得て、このエリアのツバメを守る活動を続けています。
なお、この活動は八王子市役所から道路使用許可を受け、建物の管理者からも承諾を受けて実施しています。

フン受けとカラス避けの設置

巣の場所によって付け方に工夫しながら、全ての巣にカラス避けとフン受けを設置しています。駅前のたくさんの人が行き交う場所ですので、フン受けも付いていることでツバメへの理解や関心を得られやすくなります。

※カラス避けの紐張りの方法については【天敵対策】のページで紹介しています。

掃除

フン受けを付けて地面が汚れないようにしていますが、ツバメが休憩場所にしているところにはフンが落ちているので、床の掃除もしてます。箒・ブラシ・バケツ・雑巾等を持ち寄って、みんなで週に1度は掃除をしています。トイレ箱の中に敷いてある紙を交換したり、一番子が巣立った後にフン受けに溜まっているフンを取り除いたりしています。二番子の巣立ちまで完了した巣は、巣を崩さないように中をそっと掃除しておきます。

人工巣の導入

ツバメが利用していた巣が壁から剥がれ落ちてしまったとき、人工巣を付けさせてもらいました。それにより親鳥がそこに留まり、もう一度子育てをしやすくなります。また、人工巣は壊れないのでヒナの巣立ち率が良く、その地域に滞在するツバメの数が安定するので、自分もそこで子育てしようと他所からもツバメが集まってきやすくなるようです。

営巣するツバメが増えました

2021年:5ペア営巣。7月に初めて訪問。活動スタート。
2022年:5ペア営巣。活動開始を6月に早めましたが、既にカラスに落とされてしまった巣もありました。
2023年:15ペア営巣。活動を5月から始めた結果、1つも落とされた巣はなく巣立ち率は100%で85羽が巣立ちました。
2024年:20~24ペア営巣。5月に産卵途中で紐張りをしていなかった複数の巣がカラスに壊されてしまいました。紐張りのタイミングを早めカラスからは守れるようになりましたが、6月後半からツミが出没するようになり、たくさんのヒナが連れ去られてしまいました。ツミが通り抜けできないように紐の間隔を狭めたりしてツバメの親子を守り、68羽が巣立ちました。

ツバメがいることで得られる体験・気持ちがある

活動をしていると、巣の下でツバメを見上げている人の姿に気が付きます。また、巣の下を通り過ぎる人たちから「ツバメ」という言葉が聞こえてきます。幼い子ども、小学生、学生さん、大人たち。いろんな人がツバメについて会話しながら歩いていくのです。
ツバメに話しかけたり、写真を撮ったり、巣の数を数えたりする人もいます。手を振りながらツバメに挨拶していく人もいます。お父さんが我が子を抱っこしてツバメを見させてあげたり、お母さんが「ツバメさんだよ」と我が子に教えてあげたりする光景も見ました。

私たちに天敵避けの紐の間をくぐれるのかどうか尋ねたり、「ありがとう、ご苦労様」と声を掛けたりしてくれる人もいます。
たくさんの人がツバメを見て、それぞれの想いを巡らせているのを感じます。